プロジェクト / ,

五日市K邸

個人邸

都心部から車で2時間半ほど離れた武蔵五日市に立地する今回の計画地は、秋川渓谷を見下ろす崖地の上に位置します。別荘地のように緑に囲まれた周辺環境を活かすこと、また、土地の取得時に、敷地内に既に存在した擁壁の存在を如何にして計画に取り入れるかが、テーマとしてあげられました。

30°ラインと擁壁

擁壁の位置は崖下端からの30°ライン(都の安全条例)の上端に位置しています。
擁壁をまたいで建物を建てるには、片側はかなりの深基礎か杭を使用しないと成立しません。擁壁上段の埋め戻しを行った地盤は地耐力がとれず、地盤改良等を施す必要がありました。擁壁の存在に加え、旗竿形状の敷地であることも手伝い、擁壁上段のみの土地に建物をフルヴォリューム確保しても容積消化できません。

これらの条件から、地下室兼、基礎を採用する事で、余計な地盤改良を削り、基礎から花のようにスラブを開き、さらに木造の斜め柱を採用する事で、妥当な容積を確保する事が出来ました。

中央門型コンクリート

建物中央部にコンクリートの門型フレームを設け、水平力を負担させました。結果、外周部は構造壁が不要となり、プライバシーや部屋の用途にあった、開口率で好きな箇所に開口部を設ける事が出来ました。大きな開口を取ったリビングダイニングからは、秋川渓谷の四季の移ろいが楽しめます。

回遊動線

平面計画は、中央のコンクリート壁を中心に回遊動線が生まれるように計画しています。行き止まりのない空間は、移動するごとにシーンが変化し、様々な室内空間の顔と、広がりを獲得できたように思います。

所在地 / 東京都あきる野市五日市
構造・規模 / 木・RC造/地上2階・地下1階建て
敷地面積 / 183.32㎡(55.55坪)
建築面積 / 73.01㎡(22.12坪)
延床面積 / 193.32㎡(58.58坪)
構造設計 / 名和研二(なわけんジム)
設計監理 / 清水勝広/清水勝広建築工房(担当;渡辺知哉)
施工 / 小松建設株式会社
金属加工 / (有)オーゼットエンジニアリング
家具製作 / ニュウファニチャーワークス
設計期間 / 06年1月-06年5月
工事期間 / 06年6月-07年1月

東京都建築士事務所協会主催;東京建築賞戸建住宅部門奨励賞受賞